小児科 すこやかアレルギークリニック

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まだまだほど遠い
2015/06/11
昨日も水曜日で、近隣の街へ講演に行ってきました。

先月は、他県の医師会への講演、日本アレルギー学会の発表と水曜日が2回埋まっていましたが、それ以外は地道に毎週水曜は講演に出掛けています。

講演は1時間半ほど熱弁を振るってくるのですが、かなりエネルギーを消耗します。半日の診療分以上だと思っています。ということで、通常の開業医は水曜午後に休みが入り、週が明けて月曜、火曜と働いた身体を癒すことができるのでしょうが、当院ではぶっ通しで働いているって感じです(涙)。

先日、ミルクの検査が6のお子さんにアレルギー用ミルクで負荷試験を行いましたが、実はまもなく1歳になります。1歳になったら、乳の加工品で負荷試験を行う予定です。

多くの小児科医がクラス6という数字を見ると、「絶対に食べられない」、「負荷試験どころじゃない」と考えるようですが、私なら「加工品なら食べられるんじゃないの」と疑ってかかってしまいます。

仮にアナフィラキシーを起こした子であろうと、やはり「加工品ならいけるかな?」と考えるし、アナフィラキシーショックから1年8か月で治ったミルクアレルギーを経験しているので、「治ったんじゃないか?」と考えてしまうのです。

食物アレルギーの診療には、こういうネチっこさというか、ひねくれた気持ちって欠かせないと思っています。

さて、昨日講演のあと、パソコンなどをしまっていると、「うちの子のことなんですけど...」と質問を受けました。

麺類を食べて口のまわりが赤くなったとかで、ソバアレルギーと他院で診断されていたようです。新年度にあたり、ソバのアレルギー検査を希望したところ、「ソバはすぐには治らないので、検査する必要はない」と言われてしまったそうです。

昨日の私の話を聞いて、「ちょっと違う」と感じて下さったようで、声を掛けてきたのです。これまでの経過を聞いて、「本当にソバアレルギーだろうか?」と思ってしまったし、仮にそうであっても症状が軽く、「どれくらい食べられるのか、評価すべき」と思ったので、そう説明しました。

別に自院に患者を誘導するために講演活動を繰り返している訳ではありませんが、自分が受けている「医療」に疑問を感じたら、別の医療機関を受診することはとても大切なことだと思っています。

あくまでアレルギー診療についてですが、あまりに低レベルなことをやっている開業医もあり、間違いなく“はずれクジ”です。患者さんが医師を信頼することをいいことに、まったく企業努力はやっていないところも結構あるのです。

その後、ミルクでアナフィラキシーを起こしたお子さんの話も聞きましたが、当院にはかかっていないようです。最近は、親御さんの口コミや、通う園や学校が見るに見かねて当院経の受診を勧めて下さるケースも目立ち、この地域の唯一の小児科でアレルギー専門医として頑張っているつもりでしたが、まだまだ私の目に触れていないだけで、困り果てた患者さんが少なくないと実感しています。

開業医は、当院に紹介する旨味は全くないと考えているのでしょう。自院の患者を減らすと経営にかかわりますので、意地でも紹介しない方針のようで、それについては諦めざるを得ません。専門医に正しく評価してもらおうという発想がないようです。

食物アレルギーで困っているこの地域の患者さんはすべて自分で診て、負荷試験で評価したいという気持ちを持っていますが、妨害する医療機関は仕方ないにしても、現状はまだまだほど遠いことが分かりました。

まだまだ私の「夢」はゴールさえも全く見えない状況です...。

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