小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

二重にも
2016/09/23
水曜の午後は、ほとんど講演に当てています。

最近は外来がずっと忙しいので、休めばいいのに、講演の予定が入っていることがほとんどです。私のような者でも、世の役に立つのであればと思い、引き受けています。

講演の際、食物アレルギーでは「即時型」が多いという話をします。食べている最中、もしくは間もなくじんましんや咳が出るタイプです。特殊なものとして「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」と「口腔アレルギー症候群」があると話しています。

多くの食物アレルギーに関する講義で、こう言われるのだろうと思います。「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」は10代からが多くみられ、「口腔アレルギー症候群」は最近低年齢化しているとも説明されることも多いかと思います。

確かに口腔アレルギー症候群は普段診療していて、「低年齢でも見られる」という印象があります。つい先日も書きましたが、講演で役に立ちそうなケースがあれば、メモしています。口腔アレルギー症候群と診断を確定したケースで、年齢を確認すると、5歳だったので、低年齢化を実感しています。

先日、スイカでじんましんが出るという5歳の子が受診されました。5歳ってまだ若いなと思いましたし、スイカのアレルギーって小さい子ではほとんど見ないなと感じました。

しかし、親御さんの話では、2回以上そういうことが見られているそうです。食物アレルギーの診断書って、多くの医師がちゃんとした根拠を持って書いているんだろうかと危惧しています。

親から「スイカを食べてじんましんが出ました」と言われれば、スイカアレルギーですと言ってしまうのだろうと思っています。

私なら、先程も言ったように、5歳という年齢、スイカという食べ物に違和感というか、「本当にそうだろうか?」と疑問を感じてしまうのです。

まず、血液検査をしてみました。フルーツアレルギーの場合、検査は陰性になることが多いと思いますが、クラス2でした。他の食材でも、クラス2って微妙なので皮膚テストも行いました。

皮膚テストも腫れて、陽性と判断されました。複数回食べてアレルギー症状が出ており、血液検査と皮膚テストが両方とも陽性なら、診断を確定してもいいだろうし、私も最初は疑問もありましたが、これなら腑に落ちます。

ファイナルアンサー的な「食物負荷試験」をやってもいいのかもしれませんが、自分の責任において確定してもいいだろうと考え、そう判断しています。もう少し自分の中で違和感があれば、負荷試験もやっていただろうと思っています。

同じ“スイカアレルギー”でも、親からの申請のみで確定するのとは大違いだと思っています。患者さんに「これを食べてはいけない」と診断するのです。二重にも根拠を積み上げて適確に診断する。こういう姿勢が必要だと考えています。

<<前の記事 一覧 次の記事>>