小児科 すこやかアレルギークリニック

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目先の対応
2016/12/01
連日、数名の負荷試験をやっています。

低年齢の子が多いですね。つまり、アトピー性皮膚炎があり、卵やミルクの数値が陽性で、未摂取の場合だと、卵やミルクアレルギーがあるか分からない訳です。

このケースでは、多くの医者が「アレルギーだから、食べるな」と指示しています。いつも言っているように、食べたことがないのなら、卵アレルギー、ミルクアレルギーと診断できないはずです。

卵アレルギー、ミルクアレルギーなら除去する必要がないことになります。ところが、現実は多くの医者が食物アレルギーと決めつけて、除去を指示します。患者さんはそれを信じ、長い除去生活が始まるという格好です。

この“取って付けた”ような指導が患者さん達を苦しめることになります。専門医は「正しい指導をしたい」、「除去する必要がないのでは?」と考えますので、リスクを背負ってでも負荷試験でシロクロを付けたいと考えます。多くの医者が自らにリスクを負わせない、楽をする発想に凝り固まっているようです。

小児科の仕事は、「熱が出た」、「咳が出た」などという患者さんを診察し、診断した上で、治療することにあります。

今回のケースでは、「卵アレルギーかどうか分からない」と診断すべきで、「じゃあ、負荷試験でシロクロをつけましょう」としている訳です。

当院も発熱で受診される子ども達が大勢います。熱が出てまもなく、本人も元気なら「風邪じゃないか」と考えますが、熱が続けば「風邪じゃないんじゃないか?」、「何か見逃していないか」と心配になります。

先程、食物アレルギーと決めつける医者の話をしましたが、風邪と決めつけて熱冷ましの座薬や、抗生剤を処方し続ける医者もいます。ご存知のように発熱は、ウィルスや細菌をやっつけるために体が反応して出しているので、座薬は必ず使うものとは考えていません。

熱の原因が細菌かウィルスかを区別するために採血をすることもありますが、ウィルス感染の可能性が高ければ、抗生剤は処方していません。他院の処方を見ていると、検査もされずに必ず抗生剤が出ていたりします。

痰がらみの咳の場合、痰がたまると息がしづらいため、激しく咳をして痰を吹き飛ばそうとするのですが、「アスベリン」といった咳止めを出す医者がいかに多いか。この薬は、無理矢理に咳と止める薬なので、病態によっては使ってはいけないケースもあるのです。まさに臭いものに蓋をしろ的な発想だと思っています。

小児科医って、熱が出れば座薬と抗生剤、咳が出れば咳止め、アレルギー検査が陽性なら食べるなと言っておけば、大抵は対応できてしまいそうです。対症療法のみで、原因が何なんだろうと考えなくても、やっていけそうです。

なぜ熱が続くんだろう?。マイコプラズマじゃないか?、RSウィルスではないか?などとは考えないようで、子どもの通う園や学校でこれらの感染症が蔓延する原因にもなっているように感じています。

医師という仕事は、一生懸命やればかなり体力を消耗するけれど、深く考えずに目先の対応だけでやれてしまうし、実際そういう医者が多いんじゃないかと思っています。

キチンと診断し、適切に治療しようとする医者って、実はかなり少ないように感じています。若い医者の奮起に期待というところでしょうか。

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