昨年秋に、食物アレルギーのガイドラインが改訂されました。 いくつかポイントがあるのですが、負荷試験のところが、目標量を3段階に分けています。 卵であれば、【少量】:卵黄1個、加熱した卵の1/32、【中等量】:加熱した卵の1/8〜1/2、【日常摂取量】:加熱した卵1個というものです。 以前は、どうでも1個食べさせるみたいなやり方だったように思いますが、ようやく重症な患者さんに卵1個を食べさせるのをあきらめたという感じです。 ここで当院のやり方を思い出して欲しいのですが、重症だと分かるケースや、検査の数値が高いケースでは、卵クッキーを3枚食べさせています。それをクリアできると、カステラ1切れ、最終的に卵焼き1個を用いて負荷試験を行っています。 ポイントは、なるべく症状を起こさせないために卵クッキー3枚、カステラ1切れでおしまいとしているところです。従来の学会の推奨する方法だと、症状が出たから「卵アレルギーですね」となっていました。症状が出ることで、卵を食べることが怖くなり、親も食べさせたくないと考えていたことでしょう。 この方法だと、閾値といって、どこまで食べられるかは分かりますが、患者さんを恐怖にさらさせていたのだろうと思います。当院のやり方だと、閾値は分かりません。でも、卵を少しでも食べられることが分かりますので、楽しく食べてもらえるのだろうと思います。 ハッキリ言ってしまえば、学会側がようやく患者さんに寄り添うようになったのだろうと考えています。ようやくという感じです。 私はこのやり方を学会でアピールし続けていましたので、学会の提唱する方法は、少なからず影響を受けているのではないかと思っています。でも結局は、論文に書いていないため、私のやり方だとは認定されていません。 まあ、手柄がどうとかは私にはどうでもいいことです。興味はありません。ただ、少しは患者さんに寄り添えていたのかなと感じています。先んじて、対応できていたことは少しは誇っていいことかもしれませんね。 昨年秋に新しいガイドラインを手にした時、「何だかなー」と思ってしまったのは正直なところです。 |
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