小児科 すこやかアレルギークリニック

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遠い
2017/03/27
ある食物アレルギーで有名な先生が講演でよく使う言葉があります。

「山を越え、川を越えても専門医を受診して欲しい」というものです。食物アレルギーは全国的にも専門医は少なく、専門医にかかることで、無駄な除去が減り、生活の質が上がるため、遠くても専門医を受診すべきという意図があります。

さすがに他県に行くのは遠いため、各都道府県に拠点病院を作ろうという流れになっています。ただし、その拠点病院は、都会だといくつか候補があり、覇権争いが起こりそうで、地方だと候補になる病院すらなく、苦戦しているようです。

ちなみに、拠点病院とは、子どもと成人のアレルギー疾患に精通している必要があり、食物アレルギーとぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎に対応できる施設のようです。

つまり、アレルギーが専門の小児科医、呼吸器内科医、皮膚科医、耳鼻科医がそろっている必要があります。全国にはいくつか「こども病院」があり、アレルギー疾患に対応していますが、内科系はないため、どうするかなど議論があるようです。

この拠点病院の話は、アレルギー疾患対策基本法という、アレルギーは国民病であり、専門的医療を受けられずに困っている人が多いため、それを何とかしようと法律の可決を元に進んでいます。

新潟県の場合、なかなか候補となる病院もなく、苦戦しているようですが、もし拠点病院が新潟市にできたとすると、上越からは120キロ離れていることになります。

本当にアレルギーで困っていて、120キロの距離はさして遠くないと考える患者さんにとってはいいのでしょうが、「遠くて受診できない」と考える患者さんも多いことでしょう。

当院は、市外からも多くの患者さんが通院してくださっていますが、120キロなどの遠距離をせっせと通ってくださる患者さんもいらっしゃいますが、受診を諦める方もいらっしゃるようです。

当院は、食物アレルギーに関しては、早期からアトピー性皮膚炎を見極め、治療しつつ、なるべく早期にアレルゲンを食べさせるという、最新治療を取り入れています。新潟県の子どもは、新潟の小児科医が守るべきという思いで診療しています。当院は、上越市に位置していますが、こちらから移動することはできませんので、患者さんの受診を待つしかない身です。

30キロ程の距離でも「遠い」と思う患者さんも少なくないようですし、わずか数キロでも受診されなくなった患者さんもいます。

増え続ける患者さんのために、拠点病院を作るという考えは「あり」だと思っていますが、現実問題として「遠い」という理由で受診しようとしない患者さんは多いだろうと思っています。

拠点病院の話が内々に進められているようですが、新潟県のように広い県は「遠い」という理由で受診したくとも受診できない患者さんが多いだろうと思っています。学会幹部も、都道府県にひとつ作れば患者さんが救われるという発想から脱却しないといけないと思うのは、私だけでしょうか?。

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