小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

タルク
2017/04/26
昨日、県外から遥々受診してくださった患者さんがいました。

過去に福島の会津若松から受診してくださった患者さんがいらっしゃいましたが、それよりも遥かに遠路からです。

乳児で生まれて間もないのですが、アトピー性皮膚炎を心配さています。

親御さんのご希望は、アトピー性皮膚炎かどうか客観的な証拠が欲しいということでした。新潟では、多くの小児科医、皮膚科医がためらいなく“乳児湿疹”と言い、効かないような薬が出されています。過少診断、過少治療で一向に湿疹が改善しないばかりか、経皮感作が進み、食物アレルギーまで悪化するという悪循環が繰り返されています。

私は、既にある病気をキチンと診断し、全力で治療に当たるというのは当たり前で、最新情報を駆使し、早めに対応できるようなら早く対処するのが正しいと考えています。

この食物アレルギーの発症に関してはいろいろなことが分かってきており、先程のみすみす食物アレルギーを作ってしまうような対応は避けるべきと考えています。

それにしても多くの小児科医、皮膚科医がアトピー性皮膚炎の診断、治療に関していかにテキトーにやっているか驚かされます。

いつも言っていますが、良くならないのに同じ軟膏を出し続け、患者にはメリットは一切なく、医者だけ儲かるという現状には我慢できません。と同時に、患者さんもこの現実を知るべきです。

アトピー性皮膚炎の診断は、医師によって大きな差があるようです。多くの医者がアトピー性皮膚炎とは診断したがらないようで、実際は結構な頻度があります。

客観的な指標がないことにもつながるのですが、私は今回のタイトルの「タルク」はいいかなと思っています。これはTARCと書き、「ターク」とも言われたりしますが、アトピー性皮膚炎があれば高く、なければ低く、こじれていればいる程高い値と取ります。

公表されている正常値は、生後6か月から12か月未満:1367未満、1歳以上2歳未満:998未満、2歳以上:743未満とされます。

今回の患者さんは、生まれて間もなく、6か月よりはるかに小さいので、正常値がないのです。生後6か月まで待って測るという考えもあるかもしれませんが、その間に経皮感作が進み、食物アレルギーも悪化してしまうかもしれません。

学会側には是非とも早急に生後6か月未満のデータを構築し、経皮感作を防ぐ一助にしていただきたいと思っています。当院のデータでも、経皮感作は生後3か月くらいから確認できているのですから。

ちなみに、今回の患者さんは地元の専門医にかかったのですが、お子さんを心配しタルクの検査を望んだのですが、調べてもらえなかったのだそうです。親御さんの心配を考えれば、検査くらいしてあげても良かったのだろうと思いますが、正常値も定かでないため、調べたくても調べられなかったのかもしれません。

私の印象では、小さくても明らかな異常値を取りますので、とても参考になると思います。学会側には現状に沿って、タルクの正常値の公表を望みたいと思っています。

<<前の記事 一覧 次の記事>>