小児科 すこやかアレルギークリニック

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どちらも
2017/04/28
昨日、100キロ以上離れた街から0歳の赤ちゃんの新規の受診がありました。

新潟のアレルギー医療を良くしようと約10年間突っ走ってきましたから、どうして当院をお知りになったのか分かりませんが、期待に応えなければと少々気合いが入ります(笑)。

“乳児湿疹”での受診だったのですが、ここまでくれば察しがつく方も多いでしょう。アトピー性皮膚炎の過少診断・過小治療で改善しないというパターンです。新潟では90%以上がこれですので、いかに医療レベルが低いか分かるというものです。

顔や体にアトピーの湿疹があり、皮膚科と小児科にかかっていたそうです。ちなみに「経皮感作」が進んでいて卵が陽性でした。ヨーグルトと豆腐を食べて、皮膚が赤くなったとのことでしたが、ミルクと大豆は陰性という結果でした。

皮膚科に行けば「皮膚をキレイにしなさい」と言われるし、小児科医に行けば「少しずつ食べさせなさい」と言われるし、何を信じて言いか分からなくなったということで、当院の受診を思い立ったそうです。

結論から言いますと、どちらも×です。

まず皮膚科。確かに皮膚をキレイにすることは大切です。しかし、通っても効かない薬が出されていました。通院しても皮膚症状が改善していなければ、目に見えて効果のある薬を処方するのが皮膚科医の役目のはずです。残念ながら、キチンと仕事をしている皮膚科医ってあまりいない気がします。

一方、小児科。まずアトピー性皮膚炎の治療をしっかりと行い、何が食べられ、何を食べられないか明らかにする必要があります。一般的に食物アレルギーがあっても皮膚科医は何もできないので、ここは小児科医の役割だと思います。

ところが、子どもを危険な目にあわせないのが小児科医の役割なのに、「家で少しずつ食べさせなさい」というのは明らかにおかしい訳です。自分のできないことは、できる医師に紹介すればいいのですが、まともに対応できる小児科はほとんどいません。皮膚科医の治療といい、いかに適正な医療が行われていないかを思い知らされます。

乳と大豆製品で症状が出たかもしれないという状況ですが、アレルギー採血では陰性。こういう時は、皮膚テスト行うべきです。結果は陽性でしたので、これらにもアレルギーがあるかもしれないと考えています。

まだ離乳食中の赤ちゃんですが、親としては食べられるものは食べさせて、大きくなって欲しいと願うもの。卵、乳、大豆を与えるのに不安があっては、よくないことは明らかです。

まだ調べていないものも含め、新たにアレルギー採血をさせていただきました。それを見ながら、食べさせる努力をしたいと思っています。

多分、ほとんどの小児科医がこの場面で、卵、乳、大豆を「除去しなさい」か「家で少しずつ食べさせなさい」のどちらかの言葉を発すると思います。本来は「負荷試験をして食べられるかどうかを確認していきましょう」と言うべきではないでしょうか?。

アレルギー専門医の中でも、更に進んでいる医師なら「負荷試験をして、仮に症状が出ても、なるべく食べさせていきましょう」と言うはずです。

今回、皮膚科医と小児科医の対応に困り果て、「何を信じたらいいか?」と混乱して当院に救いの手を求めて受診された訳ですが、繰り返しになりますが、どちらも×だとジャッジします。

患者さんにメリットが何一つないこういう“医療”を提供し、100キロ以上離れた医院に足を運ばせた、地元の患者を守れない医師達に憤りを感じずにはいられません。

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