小児科 すこやかアレルギークリニック

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ぶっちゃけ〜
2018/03/20
食物アレルギーに関して、今の学会に足りないものって何でしょう?。

いきなり、変な書き方ですが、私は“先を見る目”だと思っています。今の学会のスタンスは、負荷試験は危険が伴うあぶないもの、開業医はやってはいけない。そんな風に聞こえます。

負荷試験って危ないものでしょうか?。確かに思いもよらない症状が出ることもあります。先日書いたクルミの負荷試験は、いきなり血圧が低下して私も驚きました。

ただ、当院は開業して11年を迎えますが、卵、牛乳、小麦といった子どもに多い食材の負荷試験をして、危険な状態になったことはまずありません。ですから、学会幹部が「負荷試験は危険だ」という意味がよく分からないのです。

少し前に書きましたが、アレルギーが専門の大病院ほど、研修医も多く、研究もしなければならないため、画一的な負荷試験をしようとします。

そこに落とし穴があるように思えるのです。もちろん専門施設ですから、重症な患者さんが集まります。重症者ほど、ほんの微量から始めないといけないのに、決まった量から始めるので、一気に症状が悪化することってあるのだろうと思います。

その結果、アナフィラキシーを起こし、アドレナリン注射を実施する件数も増えるのではないでしょうか?。医者が複数で対応するので、医者が1人しかいない開業医では、「こんなことはさせられない」ということになっているように思うのです。

実際はその逆でしょう。条件がつきます。よく分かっている医師ならば、逆ということです。つまり、開業医は入院させられる施設もなく、アナフィラキシーさえも起こさないように最大限配慮しています。多分、専門病院がやるよりも、それ以上に配慮しています。

アナフィラキシーを起こしてしまえば、診療はストップするわ、搬送に付き添うわで大変ですし、患者さんはその食材をより一層食べたいとは思わなくなります。アナフィラキシーを起こすことは、負荷試験をやる以上避けられないことでしょうが、起こしてしまうデメリットがあまりにも大きいのです。

そうはせずに、少ない量から食べさせて、自信を持ってもらい、食べ進める。スパルタ教育でガツガツいくよりは、ほめて伸ばそうという感じでしょうか。

当院は、アドレナリン注射は年間1件ほどです。そう言うと専門病院の医師は「うちは重症が多いから」と言うでしょうが、重症が多いからこそ、アドレナリン注射は減らさないといけないはずです。その患者さんは完全除去を指示されるでしょうし、その影響で、かえって食べられなくなるかもしれません。

敢えて言えば、アドレナリン注射が多い施設は、専門病院だろうと、負荷試験のやり方を見直した方がいいと思っています。

その上で、“失敗しない”負荷試験を、開業医に「こうやるといいよ」と教えてくれるようにならなければいけないと思うのです。どんどん増える食物アレルギーをさばききれず、負荷試験が何か月待ちになっている現状を打破するためには、軽症は開業医にやらせるようにしなければいけないのは明らかだと思っています。

学会は、そういう目線で取り組むべきだと思っています。

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