小児科 すこやかアレルギークリニック

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惜しげもなく
2018/05/23
最近、ドラマ「プラックペアン」に触れることも多いです。

外科界のトップを巡り、しのぎを削る二人の大学教授。自分の部下を道具のように使い、自分の業績を挙げようと戦います。

あれをドラマだけの世界と思ってもらったら困る訳で、大学病院や有名専門病院では程度の差こそあれ、ライバル同士で自分が少しでも前にという人はいますね。

他よりも新しいことを論文にすれば、自分の名前が残る訳ですし、場合によっては、その分野におけるオピニオンリーダーになれるかもしれません。名誉も得られるし、何か良いポストも与えられるかもしれない。

こんなこともありました。当院は、毎年日本の第一人者をお招きし、「すこやか健康フェア」というイベントを自費で開催しています。新潟県に食物アレルギーの正しい知識を広めるために、日本の第一人者にご講演いただいています。

以前、ある超有名な先生をお招きした際、目新しいデータを提示されました。患者さんの指導に使えると思ったので、その先生に詳細を教えてもらおうと思ったところ、断られました。

まだ論文にしていないから、データの詳細は教えられないというのです。論文にしてしまえば、これは自分のデータだと世に残る訳です。私の伺い知ることのできないシビアな世界なんだなと思ったと同時に、「信用されていないんだな」と少し淋しい気持ちになりました。

開業してしまえば、業績とか名誉とかそんなに関係ありませんが、私は勤務医時代から疎かったですね(汗)。

いま、アレルギーの発症予防について取り組んでいる訳ですが、そういう積み重ねで得られたデータって、論文にする価値があるんだろうと思っています。多分、いくつかそういうネタを持っています。

でも、いずれ他の医師がいかにも自分のオリジナルのデータとして発表しちゃうんでしょうね。私は学会発表を繰り返していますが、結局は論文にしないと後世に残らないのです。

今日は、この場で披露しちゃいましょうかね?。自分のデータとしたいのではなく、正しい情報を求めて、田舎の開業医のホームページに来てくださっている多くの患者さんの役に立ちたいと思っているからです。

この場でも既に書いていますが、湿疹のある患者さんにアレルギー採血をすると、生後1、2か月ではほとんど卵の数値は上がりませんが、3か月から一気に30%を超えます。

牛乳や小麦アレルギーも多いことになっていますが、卵アレルギーが圧倒的に多く、早期から出てくるのです。

早期からアトピー性皮膚炎の治療をすれば、食物アレルギーは予防することは可能だろうと思っています。既に取り組んでいますので、そういう実感はあります。ただし、ガッチリ治療したつもりでも、数ヶ月後に卵の値が上がってくることもあります。

既に経皮感作を受けて、卵が陽性化してきているからです。これは防ぎようがないのかなと思っています。こういうケースは、卵アレルギーを発症してしまうのかと言えば、そうではありません。0歳から卵を少量から食べさせると、ほぼ発症させずに済みます。

ただ一部、卵黄程度で2時間後に繰り返し吐き続ける消化器症状の強いケースもあるので注意が必要です。

こうやって書いてしまうと、あっさりしていますね。でも食物アレルギーを防ぎたいのなら、生後1、2か月の湿疹からアクションを起こすべきです。多くの小児科医、皮膚科医は関心がないため、「はい、乳児湿疹ですね」なんて言っていますが、実はほとんどのケースで卵アレルギーが始まっているのです。

経皮感作を減らしたい、食物アレルギーを予防したいと考える、1%もいないであろう熱意のある小児科医に対応を委ねるしかなさそうです。

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