昨日、「欲しい情報」について触れました。 あとでひとつ忘れていた項目がありましたので、今日もそれについて書こうと思います。 単刀直入に言いますと、「完全除去率」です。昨日、「解除率」と書きましたので、同じようなこととお思いかもしれません。実は、違います。 「解除率」とは、卵アレルギーなら卵焼きなど卵料理やプリン、マヨネーズを普通に食べられるようになり、「園や学校で除去する必要がなくなったので、アレルギーのない子と同様の給食を出してください」と言えるものです。 「解除率」の裏返しが「完全除去率」ではありません。「完全除去」とは、卵アレルギーなら卵を含む一切の食品を食べてはいけないとするものです。 当院では解除になる前の段階では卵クッキーやカステラなどの加工品を食べてもらっているため、完全除去にはなっていないのです。繰り返しになりますが、完全除去とは、一切食べていない状況を指します。 「解除率」はピーナッツやイクラ、ソバなどではなく、日頃の食事にしわ寄せの大きい卵、乳、小麦について評価するのがいいのではないかと考えています。 これまで長年食物アレルギーの診療をしてきて、完全除去は良くないという考えに至りました。完全除去とは、食べると食物アレルギーが悪くなると考えられていた時代の対処法であり、今は必要最小限の除去が基本になっています。 除去していて治るということに関しては、私は懐疑的です。実際、少しでも食べるとアレルギー症状を来してしまうような重症な患者さんは日頃から完全除去を徹底して行なっていますが、まったく治りません。 かえって、食べることによって免疫が動くことが分かってきました。実際、食べさせていると、もっと食べられるようになることを幾多も経験しています。 ですから、当院では重症であっても、少しでも食べるように指導しており、その結果として完全除去にはほとんどなっていません。卵は○mg、乳はおそらく0.00○ml、小麦は0.0○gであっても食べるように指導しています。ちゃんと負荷試験で確認しています。 おそらく、当院の卵、乳、小麦アレルギー患者さんの「完全除去率」はかなりゼロに近いと思います。 「完全除去率」をいかに少なくするかが「解除率」を上げるキーポイントだと考えています。逆に「完全除去率」を記載することになれば、その医療機関の治したいという本気度が見て取れるのだろうと思います。 |
<<前の記事 | 一覧 | 次の記事>> |