小児科 すこやかアレルギークリニック

病院からのお知らせ

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5月の勉強会(2本立て):学校生活管理指導表について
2009/04/30
ここ最近は、自分を育てて下さった恩師に対する感謝の言葉を述べてきました。

恩師は、小児ぜんそくの子ども達を目の前にしながら、より良い治療を模索して、結局は小児ぜんそくの治療をEBMに沿ったものとし、日本全体のレベルアップを果たしたという大きな功績を果たされました。

恩師の元で学ばせて頂いた者として、私もせめてお膝元の上越の小児アレルギーのレベルアップに協力したいと考えています。

実は昨年春から文部科学省が、昨今の小児アレルギー患者の増加に目を付け、「学校生活管理指導表(アレルギー疾患編)」を作りました。しかし、1年以上経っても末端の方で止まっており、現場には全くと言っていい程広まっておりません。

例えば、ペットに触れるとぜんそく発作を起こしてしまいやすい場合はペットの飼育係をどうするとか、汗でアトピー性皮膚炎が悪化しやすい場合のその対処や、食物アレルギーで原因アレルゲンを除去してもらうなど、学校生活の上で配慮が求められるケースはあると思います。

これまでは個々の学校で対処されていたと思うのですが、一律にしようというのが「学校生活管理指導表」という訳です。

近々ここ上越市でも「学校生活管理指導表」の運用を始めようという動きがあるように聞いています。これはアレルギーを持つお子さんや親御さんにとって、とても良いことだと思っています。上越の小児科ではたった一人のアレルギー専門医として、協力は惜しまないつもりです。

「学校生活管理指導表」への関心が高まりつつあることを考慮し、5月の院内勉強会は5月16日(土)と23日(土)の2本立てと致します。いずれも14時からを予定しています。

「学校生活管理指導表」は目を通して頂ければ分かるのですが、親御さんや学校の先生は難しいと思います。小児科医も含めた内科などの医師にも難しいと言われているくらいです。「学校生活管理指導表」が現場の学校で運用されても、それを正確に理解し、的確に判断されなければ不利益を被るのは患者である子どもです。まずは一度解説してもらって理解すれば、何とかなると思います。

ということで、まず16日はアレルギー性鼻炎と食物アレルギーの2つの病気について解説したいと思います。私が力を入れているのは、食物アレルギーです。これまで食物アレルギーの専門医はいなかったので、誤解されている部分があまりにも多い印象です。

最近増えている果物を食べて口の中がイガイガしたり、違和感を覚える「口腔アレルギー症候群」という病気を周囲が“好き嫌い”と思っていたり、幼児期に起きた卵アレルギーをそのまま除去し続けていたり、年齢とともにアレルギー検査は正確性が落ちるのに検査が陽性のものを除去され続けていたり、アナフィラキシーという強いアレルギー症状を起こしたことがあるのに「エピペン」という緊急対処の薬を処方されていなかったりと、的確に対応しているとは言えない状況のお子さんもいます。

「学校生活管理指導表」が開始されることで、そういったお子さん達が適正に対処されるチャンスだと私は考えています。そのためには食物アレルギーとはどんなものか、どんな症状が誘発されるのか、先程も述べましたがアレルギー検査だけでは当てにならないので「食物負荷試験」でシロクロをつけるのがアレルギー専門医の間では常識になってきていること、エピペンの使い方などにも触れ、詳しく解説したいと思います。もちろん質問も受け付けます。

アレルギーの児童、生徒が保護されるよう「学校生活管理指導表」を使いこなされるべきですし、正しい運用がなされるよう願っています。当院は、今後も適正な治療や情報発信を行っていきたいと考えています。

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