小児科 すこやかアレルギークリニック

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怖くて聞けない
2009/05/04
アレルギーの病気は、経過が長いです。

咳や皮膚の痒みなど繰り返し悪化し、慢性の経過を辿ります。最初は“風邪”や“乳児湿疹”と勘違いされても仕方ないと思います。しかし、繰り返せば“風邪”や“乳児湿疹”でないことに気付かなければなりません。

となると、親御さんは「どうしたら咳や皮膚症状を抑えることができるか」という考えに変わってくると思います。

ぜんそくなら“運動誘発ぜんそく”という現象がほぼ全例にみられます。読んで字のごとく、運動するとゼーゼーや咳が誘発されるのです。温度の急激な変化や煙でも咳が誘導されてしまいます。重いお子さんは、笑ったりむせただけでゼーゼーや咳が出てしまいます。以前、お子さんが笑うと咳き込みが強いので、家族でお子さんを笑わせないようにしていたという、本当に笑えない話をしたと思います。

親御さんは、お子さんの症状にとても敏感になっています。初診時に「この子はどんな時に咳が出ますか?」と質問すると、「走った時と温度の変わった時と煙を吸った時です」と見事に咳の誘発されやすい状況を言い当てることが多いのです。病気を管理する上でも、親御さんには知っておいて欲しいことは沢山あるのです。

しかし、こういう症状を繰り返しても、ぜんそくとキチンと診断されていないケースが目につきます。お子さんの慢性疾患を見つけるのは、プロであるかかりつけ医の役目です。繰り返す症状には、医師も敏感でなければならないと思います。

咳が止まらないと、当院に来られる患者さんが多いです。そういう患者さんのほとんどがぜんそくがある、もしくは隠れています。診断を親御さんが納得して下さらないと何も始まりません。日頃の管理や治療法、予後などを併せて説明していますが、あっという間に20〜30分はかかってしまいます。

初診の患者さんには、ぜんそくで実はかなり重症のお子さんも含まれます。となると長期に渡る継続的な治療をしなければいけません。お子さんのぜんそくが治るかどうかの問題なので、念を入れて説明しています。そして最後に「何か分からないことがあれば言って。大抵のことは答えられるから。」と言っています。

その理由は、慢性疾患は親御さんが第二の主治医です。基本は素人なので、プロである小児科医からいろいろと対処法を学んで、小児科医と親御さんが二人三脚でお子さんの症状を安定させていくのが、本来の治療法だと思っています。

先日、いつものようにそう言ったら、「これまでは、質問があっても怖くて聞けませんでした。主治医の顔色を見て、質問してもよさそうな時にだけ聞いていました」と言われてしまいました。そう聞いて、とても気の毒に思いました。また医師の話が1〜2分で終わると、追い出されるように診察室を出され、質問する余地が全然ないと言われるお母さんもいらっしゃいました。

お子さんがアレルギーなどの慢性疾患をお持ちの場合は、風邪などの急性疾患とは対応が大きく異なります。本当の風邪や胃腸炎なら、ほとんどの親御さんは質問もないことでしょう。放っておいても治るからです。慢性の病気は、先程も言った通り日頃から悪化しないようにする継続的な努力が必要になります。

お子さんが慢性の病気を持ってしまった場合は、時間をかけて何でも気軽に答えてくれるといった良心的というか、慢性疾患として対応してくれる主治医をお母さん友達などの口コミなどから探す努力も必要になってくると思います。

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