小児科 すこやかアレルギークリニック

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「分からない」方が誠実
2009/07/09
先日、県庁所在地からアレルギーのお子さんが引っ越して来られ、当院を初診されました。

地元の小児科で診てもらっていましたが、イマイチ良くならなかったそうです。咳や皮膚が治療してもなかなか良くならなければ、慢性の病態を考えるべきだし、なぜ良くならないのかを考えなければならないと思います。

皮膚に関して言えば、乳児期は“汗疹”と診断されていたそうです。治療しても良くならなかったので、なぜか「お母さんが卵と乳製品を除去してみて」と言われたそうです。血液検査もなしにです。ちょっとビックリしました。

医学は科学です。お母さんは医師の指示に従っていましたが、そのやり方にどういう根拠があるのか説明しなければなりません。当てずっぽうなやり方は、患者さんに無理強いをするだけではないかと思ってしまいます。

後にアレルギー検査をして、卵が陽性でした。血液検査が陽性だから、母が卵を除去しなければならないという訳ではありません。そういう場合もありますが、頻度的にはかなり少数だと思います。アレルギー検査の結果をもとに除去を指示するのなら分かります。今回は逆なのです。

以前も、上越で卵白が3だから母も卵を完全除去するようにというアレルギー科の医師がいましたが、困り果てて当院に駆け込まれました。そこまでする必要はないと判断して、卵を食べてもらいましたが皮膚は悪化しませんでした。検査が陽性だからと“完全”に除去するのも正しくはないと思います。

医師は「卵を食べないように」と言うだけですから、言われる方の身にもなって頂きたいものだと思っています。親御さんは子どものために必死なのです。安易に根拠のないことを言うべきではないと思います。

分からなければ、「分からない」と正直に言ってもらう方が患者さんも分かるし、その小児科医を好意的に捉えてくれると思います。往々にして、良くならないと患者さんは他の医療機関を受診することになります。複数の医療機関を受診すると、医療そのものを比べることができますので、これまでお子さんが受けていた医療がどういうものだったかを知ることになると思います。

先の患者さんは、アトピー性皮膚炎でしたが、そのように診断されていませんでした。いつも言っている通り、治療不足で良くなっていませんでした。食物アレルギーは卵製品を食べてじんましんが出ていましたので、診断は合っていましたが、「食物負荷試験」のことも説明されていませんでした。また、長引く咳はぜんそくを考えなければいけないのに“風邪”と診断されていました。

お母さんは皮膚も咳も良くならないので、小児科を代えようと思ったとのことですが、どこに行ったらいいか分からずに、そのまま通院されていたそうです。お気の毒に思います。

当院ではいつも通りというか、30分程説明しました。とても熱心に聞いて下さり、「今までのモヤモヤがスッキリしました」とおっしゃっていました。アレルギーはより専門的に勉強していますから、医師によって差があることは充分に理解して頂けたと思っています。

今回、紹介状を持って来られませんでした。私ならこれまでの経過を書いてお願いしますという意味を込めて書いたと思います。紹介状があれば、返事に母に卵と乳製品を除去する必要はなかったと思いますと書いたと思います。似たような経過の患者さんに同じ対応をとって欲しくないからです。

小児科はただでさえ分野が広いので、何でも分かる医師なんてこの世に存在しません。当院では、専門分野はある程度自信を持って診療していますが、他のちょっと自信がない分野に関してはその道の専門家に紹介状を書いています。「分からない」と素直に言える姿勢は大切だし、その方が誠実な対応だと思っています。

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