小児科 すこやかアレルギークリニック

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食べなくても食物アレルギー
2009/07/10
他院がかかりつけでも、食物アレルギーを心配すると当院を受診して下さっているようです。その結果として、当院は食物アレルギーの患者さんが多いと思いますし、いろんなケースの患者さんに対応しています。

先日、変わった食物アレルギーの起こし方をしたお子さんが1日に2人いらっしゃいました。

まず一人は、卵白がアレルギー検査で「6」のお子さんです。家でお子さんが泣いていて、たまたま近くを通りかかった近所のおばさんが、実は卵料理を終えたばかりの手で、お子さんの涙を拭いてあげたら、その部分が赤く張れてきたというものです。

親御さんは、お子さんが強い卵アレルギーがあるので、当然食べないように注意をしていました。今回は予見できなかったことだと思います。親御さんも卵を触った手でよもや食物アレルギーは起きないと考えていらっしゃいました。実は、決して珍しいことではありません。

私はこの患者さんに、人間にミスは付き物なのでアレルゲンを食べさせてしまうこともあるだろうと考え、緊急対処の内服薬を処方していました。親御さんも予想外の出来事でしたが、その薬を飲ませてキチンと対応されていました。

今回のことは起きないに越したことはありませんが、お子さんのアレルギー症状に絶妙のタイミングで緊急対処薬を飲ませられたこと、飲ませた後でどんな感じで薬が効いていくのかを理解できたことは、今後に役立つと思っています。

もう一人も、やはり卵アレルギーがありました。しかし、先月に卵焼きの「食物負荷試験」を行っており、陰性であることを確認していました。つまり、卵製品は火さえしっかり通してあれば、除去しなくてもいいでしょうと指導していました。お母さんもずっと卵を除去していたので、それが解除となり喜んでおられました。

お子さんが生卵を割ってみたいというので割らせたそうです。生の白身がついたままの手で顔をこすったところ、その部分が赤く腫れてきたのだそうです。卵焼きを食べているのにとは思いましたが、生の白身でしかも触れた所にじんましんができれば、それが原因であると考えざるを得ません。

症状は軽く済んだのですが、親御さんも生卵を触らせる時は、注意が必要であることはよく理解されたと思っています。

少し前にも、卵料理を食べたばかりの口で父親が卵アレルギーのお子さんの頬にキスをしたら、その部分が腫れたという患者さんも受診されました。

また、イクラにアレルギーがあるとは思ってもいませんでしたが、お子さんがイクラを触っていて、それがつぶれてしまったそうです。その汁が付いたままの手で目の周りをこすったら、やはり目の周りが腫れたと受診されました。アレルギー検査ではイクラはしっかり陽性で、イクラアレルギーが判明したケースもあります。

食物アレルギーは、アレルギー検査だけで判断する小児科医が多いので、無駄に除去されているケースが多いのも事実です。しかしその反面、強いアレルギーがあり、食べなくてもアレルゲンを触れた手で皮膚に接触するだけで、アレルギー反応を起こすケースもあることを知って頂きたいと思っています。こういうことは牛乳でも起こり得ます。

食物アレルギーがあれば、食べないように努力されるはずですが、実はアレルゲンに触れないように心掛けなければなりません。結果論になりますが、知ってさえいれば防げたことだろうと思っています。なお、当然といえば当然なのですが、皮膚にアレルゲンが付いてしまったら、洗い流すのがまず行うべき対応です。

食物アレルギーのお子さんを守るために、親御さんやご家族、園や学校関係者の方々には正しい情報も持ち、的確にそして迅速に対応して頂きたいと思っています。

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