小児科 すこやかアレルギークリニック

病院からのお知らせ

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9月の院内勉強会のお知らせ
2009/09/12
恒例の9月の院内勉強会は、9月26日(土)の14時から行いたいと思います。

タイトルは「こどもの長引く咳」で、文字通り子どもの長引く咳を見たら何を考えるかとお話ししたいと思います。

以前、市内のホテルで衛星回線を使った小児ぜんそくの勉強会があった時のこと。日本の第一人者の先生が講師を務め、2008年12月に改訂された小児ぜんそくの治療・管理ガイドラインの改訂ポイントを中心に解説するという会合がありました。

最後の質問コーナーで、沖縄の若い小児科の先生が「長引く咳の子どもをみた場合に、私は気管支炎、マイコプラズマなどの気道感染、鼻の影響、ぜんそくの3つを考えて治療に取り組んでいるが、それで問題ないでしょうか?」と質問されていました。講師の先生もキチンと対応しようとしている姿勢を誉めて、「その考え方で私もやっています」と回答されていました。

私も専門施設でぜんそくの治療を学んできました。例えばぜんそくの治療をして良くならなければ、医師はどうすべきでしょうか?。「ぜんそくではないんじゃないか」と考え、もう一度診断を見直すべきですよね?。となると、ぜんそくと紛らわしい病気を念頭において、もう一度刑事のように洗い直すことも重要でしょう。

開業医は軽症の子ども達が受診しています。どの医療機関でも「咳」のお子さんは1日に何人も受診しています。確かに風邪のお子さんが頻度的にも多いでしょう。しかし、風邪と思い風邪薬を出しても良くならなければ、どうすべきでしょうか?。

沖縄の先生のように、マイコプラズマなどの気道感染、鼻の影響、ぜんそくを考えて対応しなければなりませんよね?。当院には、他院で治療しても良くならないという咳の長引くお子さんがとても多いです。中には耳鼻科に長くかかっているお子さんもいます。往々にして、小児科医は風邪、気管支炎と診断しています。耳鼻科医は鼻がのどの方に落ちて咳の原因になっていると説明しています。

そう考えて、治療して良くなれば何の問題もありません。その考えにこだわり過ぎて、症状が改善していないのに分かる医師に紹介することもなく、同じ薬を出し続けられているケースは少なくありません。本当なら、治らない時の対応が医師の腕の見せどころであり、良心的かどうかの分かれ道だと思います。やはり沖縄の先生のように柔軟性を持って、患者さんの苦しみを短期間で取り去る努力をすべきなのではないでしょうか?。

先日受診されたお子さんは、5月から咳が長引くと言って当院を受診されました。当然何もしていなかった訳でなく、おくすり手帳をパッと見ただけで複数の医療機関にかかっており、6人くらいの小児科医が治療していました。ほとんど毎回“風邪薬”が処方されていました。

5月からの長引く咳ですから“風邪”でないのは明らかです。それでも「風邪を繰り返している」という医師もいるでしょうが、普通そんなことはありません。おくすり手帳を見ても“風邪薬”が聞かないんだから、その点からも“風邪”でないことは明らかです。

私がこのお子さんに最適と考えた処方をして1週間後に来て頂きましたが、ほぼ症状はなくなっていました。親御さんから問診を丁寧にすれば、ぜんそくが隠れていることは明らかでした。沖縄の先生のように柔軟に対応していれば、5月から3〜4か月も続く咳はもっと早く止められたのではないかと思えてなりません。「咳」=“風邪”、“マイコプラズマ”なんて診断されているケースは少なくなく、我々小児科医は長引く咳にキチンと対応する努力をしなければならないのです。

なお、沖縄の先生にひとつアドバイスをするならば、「心因性咳嗽」もたまに遭遇します。精神的なストレスをきっかけとして咳が長引くという病態です。当院でも開院して5人以上は診ています。「気管支炎でもない、鼻も悪くない、ぜんそくでもないさそうだ。この子の咳は何なのだろう?。」と真面目に取り組んで、至った診断です。この辺は普通の小児科医や耳鼻科医ですと難しいでしょう。私も福岡でこういうケースをみて、診断を学んできました。

26日は長引く咳の区別する方法をお話しし、後半にぜんそくの解説をしようと思っています。他の医療機関にかかっていて長引く咳で悩んでいる親御さんに是非聞いて頂きたいと思います。

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