小児科 すこやかアレルギークリニック

病院からのお知らせ

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3月27日15時から院内勉強会
2010/03/12
ご存知のように今シーズンのインフルエンザの予防接種は、季節性と新型を2回ずつの計4回行わなければなりませんでした。

子ども達は例年より2倍痛い思いをしなければならず、親御さん達はワクチンの予約にてんやわんやだったことでしょう。我々小児科医も季節性ワクチンの品不足、新型ワクチンの不確定な情報で確保に苦労しました。通常の診療をしつつ、予防接種の時間を捻出しなければならず、ずっとオーバーヒート気味で仕事をしていました。

更に当院の場合は、学会に参加して最新情報を手に入れようと努力していますから休診もありますし、冬休みにはぜんそくのかかりつけのお子さんがもう治療を中止してよいかどうかを判断する「気道過敏性試験」を行っています。尚更、予防接種の時間が取れず、ひとつの体では全く足りていない状況でした。

申し訳ないのですが、犠牲にせざるをえなかったのが「院内勉強会」でした。インフルエンザの予防接種や新型インフルエンザの流行も終息してきましたので、「院内勉強会」を再開したいと思います。

3月27日は15時から「院内勉強会」を行いたいと思います。題目は「乳児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギー」にしたいと思います。

当院は、最近もアトピー性皮膚炎の赤ちゃんの受診が絶えませんが、乳児湿疹や乾燥肌と診断されており、適正な診断が行われていないケースが多いのが現状です。アトピー性皮膚炎の悪化要因として、食物アレルギーが挙げられますが、理論的でない説明をされ、混乱している親御さんがとても多いのが気になっています。

最近はガイドラインブームと言われ、多くの病気に関するガイドラインが作られていると思います。アトピー性皮膚炎についてもガイドラインは存在します。各医師がガイドラインを遵守してさえいれば、かかりつけの小児科や皮膚科で同じレベルでの診断や治療ができるはずです。

にもかかわらず、特に根拠もなく、母乳を与えているお母さんに卵を食べないよう指導している小児科医や皮膚科医もいるようです。食べてもお子さんの病状を悪化させないのなら、母の卵の除去は不要なはずです。正直言って、私自身もキチンと見極められていないケースもあるとは思いますが、無駄な除去をして、親御さんにまで不要なストレスをかけることを避ける努力は常に求められています。

この辺は厚生労働省の出した「食物アレルギー診療の手引き2008」をみれば書いてあることです。食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎における食物アレルギー診療のフローチャートという図が掲載されています。

それを見ると、まずアトピー性皮膚炎の診断基準に基づいて診断し、ガイドラインに沿った治療をすることが薦められています。残念ながら、当院に来られる患者さんの多くは、フローチャートがスタートの時点から既にずれてしまっています。診断と治療がうまくいっていないケースが少なくないのです。その結果、皮膚も良くならないし、何が悪化要因だか全く分からない状態になっています。

まず適切に診断して、治療してみて症状が改善すれば、食事の影響はないのではないかと考えます。そりゃそうです。食事内容を変更していないのですから。一方、症状が変わらなければ、何かが足を引っ張っているのではないかと考え、ここで食事の影響を考えることを推奨しています。

アレルギー検査をして検査が陰性なら、もう一度皮膚の治療を見直します。検査が陽性だった場合、項目が少なければ、陽性の食品の除去をしてみて皮膚の改善具合を確認します。ただ項目が多ければ、それを除去するとなると栄養不足に陥る可能性があります。ですから多項目陽性であれば、専門医に紹介することが明記されています。ここも地元では守られていないように思います。

私は、こういったガイドラインを普及させなければならないと思っています。もちろん困っている患者さんの力になるためです。これからはガイドラインを守らない医療をすれば、ペナルティを受ける時代が来るかもしれません。本来、ガイドラインは患者さんが全国どこでも、どの小児科、皮膚科にかかっても同等のハイレベルな医療を受けられるためのものです。つまり患者さんのためでしょう。

と同時に、医師を守るものだと思っています。病気の対応が言わばマニュアル化されており、その道筋に沿って診断、治療すればいいのです。ラクチンですよね?。私自身も治療して良くならなければ、治療をステップアップすればいいので、かなり楽をさせてもらっています。医師をも楽にするガイドラインの恩恵に預かれていない患者さんが多いのは、不幸なことだと思います。

ということで、乳児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーについて解説しようと思っています。離乳食の進め方も食物アレルギーがあれば、その辺を考慮に入れるのは当然のことでしょう。それについても触れたいと思います。なかなか相談に乗ってもらえる小児科が少なく、お困りの方も多いことと思っています。当院かかりつけでなくても赤ちゃんのアトピーと食物アレルギーに興味を持つ方であれば参加はOKですので、一緒に勉強していきましょう。

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