小児科 すこやかアレルギークリニック

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感染症の話を
2010/10/15
既にインフルエンザの予防接種をほとんどの医療機関が開始していると思います。

遅ればせながらというか、当院でも14日から開始しています。真面目に診療していると、かかりつけの患者さんが年々増えます。インフルエンザのワクチンの接種希望者もそれにつれて増えています。

当院は、アレルギーの患者さんが多いため、ともすると話が長くなり、予防接種に当てられる時間がなかなか取れません。しかし、希望者も多くなっています。それが悩みの種でもある訳です。ここ最近は、ワクチンの供給不足で、当院で受けたくても受けられない患者さんが少なくありませんでしたが、今年はなるべくニーズに応えるつもりでいます。特に土曜の午後は、これまでよりも大幅に接種の枠を拡大しています。それでも既に多くの予約を頂いているようです。

インフルエンザになると、アレルギーがある場合、ぜんそく発作を起こしたり、アトピー性皮膚炎が悪化することもあります。アレルギー体質の有無にかかわらず、高熱でぐったりしたり、熱性けいれんが誘発されることもありますし、最悪インフルエンザ脳症という恐い病気も起こり得ます。

かわいいお子さんのために、インフルエンザにかからないようにしたいと、どの親御さんも一生懸命です。「具合が悪くならないように、インフルエンザの予防接種を受けましょう」というのは分かりやすいし、実際のところは、私からは誰一人として「当院で受けて下さい」とは言っていませんが、接種希望者は大勢います。そんなところに、アレルギーにはない、親御さん達の意識の高さを感じています。

当院は、医学的根拠のある医療を行っているつもりです。特にアレルギーは「ガイドライン」に沿った診断、治療を心掛けています。ただ、小児科医のメインの仕事である感染症も手を抜くことなく、根拠のある診断、治療をしようと思っています。

上越は、何故かマイコプラズマが多い土地です。短期間に3回もマイコプラズマにかかるお子さんもいます。申し訳ないですが、常識的にこんなことは考えにくく、マイコプラズマの検査の限界を知らないとこんな診断を繰り返すことになります。つまり、マイコプラズマの抗体は一度かかると、しばらくは体の中に残るので、既にかかったことを表しているだけなのに、「また、マイコプラズマです」なんて判断されているのだろうと思っています。そんな状況で、マイコプラズマに有効と言われる抗生剤の点滴を繰り返しても、治療効果は得られない訳です。そんなこともあって、しょっちゅう外来で「周りにマイコプラズマの子がいる」と言われますが、個人的にはあまり当てにしていません。

また、RSウィルスという乳幼児がかかるとゼーゼーいって、呼吸困難に至り、入院を余儀なくされる可能性の高い病気があります。医院でも簡単に調べられる有効な検査があるにもかかわらず、当院も含めた一部の医療機関でしか調べていません。理由は、検査費用が医院の持ち出しになるからでしょう。感染力が極めて強く、未満児がかかると重症化しやすいので、感染拡大を防ぐには医院の経営を含めた損得を考えることはせず、積極的に検査をすべきでしょう。

昨年、上越でRSウィルスが大流行しました。市内の病院では、RSウィルスにより呼吸困難に至ったお子さんが1日で6人入院したこともあったそうです。幼稚園や保育園での先生方もRSウィルスに関する知識が少ないようでしたので、関係各所に「RSウィルスが流行していますので注意して下さい」と注意を喚起させて頂きました。

それなりに感染症もこだわって、真面目に診療しているつもりです。そういう姿勢を評価して頂いたのか、先日、地元の園の先生から講演の依頼がありました。

最初は、いつも通り食物アレルギーなどのアレルギーに関するものだろうと思っていたのですが、子どものかかりやすい感染症全般について話して下さいと言うものでした。正直、ちょっとだけ戸惑いました。アレルギーのスライドは何百枚も用意できますが、感染症は一から作らないといけないからです。ただ、何人も小児科医がいる中でのご指名だったので、もちろんお受けしました。

たっぷりの講演時間を頂いたので、何十枚もスライドをこらから作ることになります。これから土曜の午後も含めて、毎日のように診療+インフルエンザの予防接種が入ります。更に12月のアレルギー学会の発表のためのデータまとめもしないといけません。講演の準備のための時間がなかなか取れないのが痛いところですが、多くの関係者が集まって下さるようなので、マイコプラズマやRSウィルスをはじめ、誤解されているような感染症のことを正しく理解して頂くチャンスだと思っています。

また最近、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンが新設されたり、日本脳炎のワクチンが再開されたりといろんなワクチンが推奨されています。この辺も触れた方がいいでしょう。それなりに良い話ができると、別のところで感染症の話の依頼が入るかもしれません。地元の啓発はアレルギーだけでなく、感染症に関しても必要だと考えています。

声がかかるうちは、期待されているのだろうと考え、何とか時間を作ってコツコツと準備を進めていきたいと思っています。

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